料理や皿洗いなどで使った汚水を下水道管まで送り出す「排水管」は、快適な暮らしを送るうえで欠かせないものです。
そんな排水管ですが、寒くなってくると凍結し、水を流せなくなってしまう恐れがあります。破裂して高額な修理費用が発生する場合もあるため、日頃からの注意が肝心です。
今回は、排水管の凍結を防ぐための4つの予防策のほか、万が一凍結してしまったときに役立つ対処法などをご紹介します。
排水管が凍結する原因
冬が近づくにつれて発生リスクが高まる排水管凍結は、次のような原因から生じています。
外気の低下
排水管が凍結する最大の原因は、気温の低下によるものです。一般的には、外気がマイナス4℃を下回ると凍結のリスクが高まるといわれています。
万が一、排水管が凍結してしまうと、日常生活を送るのも大変です。家で使用した水が排出できなくなるので、料理や皿洗いといった家事ですら、ままならなくなってしまいます。
風が強い
たとえ外気がマイナス4℃を多少上回っても、油断は禁物です。
風が強い日や日陰では、排水管周辺の気温が下がりやすくなるため、凍結のリスクが高まります。 特に、自宅の北側や風通りの良い位置にある排水管は、要注意です。
昼間でも冷たい風が吹きつけると、かなり肌寒く感じられるので、夕方から夜にかけて排水管が凍結してしまう可能性は大いにあり得ます。
排水管の凍結防止方法
排水管凍結の予防策には、大きく分けて4つの方法が存在します。
水道管を保温する
手軽に実践できるのが、水道管を保温する方法です。排水管や給水管を直接保護し、外気の影響を受けにくくすることで、未然に凍結のリスクを抑えられます。
ドライヤーや温めたタオルなど、自宅にあるものを使い、簡単に排水管凍結を予防することが可能です。
水抜きしておく
そもそも排水管が凍結する理由は、水道管内部に水が溜まっているからなので、水抜きによる防止方法は非常に効果的です。
具体的には、次のような手順で進めていきます。
- 家中の蛇口を締める
- 水道栓を締める
- 高い位置から順に、全ての蛇口を開ける
- 再度、家中の蛇口が締まっているか確認する
水を完全に抜くには、開いた状態の蛇口に空気を取り込ませる必要があります。最後は必ず蛇口に手を当てて、空気を吸い込んでいるかどうか確認しましょう。
水を流しっぱなしにする
絶えず流動する川が凍りにくいという原理を活かし、蛇口から水を流しっぱなしにしておくのも凍結防止に有効です。水の量は、チョロチョロと流れ出るくらいを保つ必要があります。
ただし、大寒波では水を流しっぱなしにしても凍結する可能性が高いので、寒冷地域に住む方は他の対策での予防を検討するのが無難でしょう。また、流しっぱなしにした分の水道代が高騰する点にも注意が必要です。
家計への負担が気になるのであれば、他の方法で凍結の解消を目指すようにしてください。
寒冷地用蛇口に交換
従来の蛇口から、耐寒性能に優れた製品への交換によって、排水管凍結のリスクを軽減できるケースも多いです。
最近は、機能性とデザイン性を併せ持つ商品が多数展開されているので、蛇口の老朽化が気になりだしたタイミングでの買い替えをおすすめします。
商品選びの際は、コマとスピンドルが一体型になった「固定コマ」や水が内部に溜まりにくい形状のものを選ぶと、より効果を実感しやすいでしょう。
排水管が凍結した際の対処法
十分な対策をしても、排水管が凍結してしまう可能性があります。ここでは、実際に排水管が凍結してしまった場合、手軽に試せる対処法をいくつかご紹介します。
ドライヤーの温風を当てる
比較的簡単に排水管の凍結を解決できるのが、ドライヤーの温風を当て続ける対処法です。ドライヤーを使い、時間をかけてじっくり温めることで、排水管内部の解凍を目指します。
ただ、外気が低いとあまり効果を期待できない可能性もあるので、念のために別の対処法も検討しておくのがおすすめです。
お湯で溶かす
ドライヤーの温風で解凍できなかった場合は、お湯で溶かす対処法が効果的です。具体的には、排水管にタオルを巻きつけ、上からぬるま湯をかけます。
ただし、周囲に電気配線のある環境で後からお湯をかけるのは、非常に危険です。漏電する可能性があるので、命に関わる事故を防ぐためにも絶対にやめましょう。代替法として、あらかじめぬるま湯に浸しておいたタオルを当てるようにしてください。
また、冷えたタオルをすぐに交換することも大切です。そのまま同じものを使い続けると、排水管内部の冷えを助長し、凍結状態を悪化させる要因になりかねません。
排水管が凍結した際の注意点
排水管が凍結したときの対処法についてご紹介しました。いくつか注意点もあるので、必ず目を通しておきましょう。
無理に蛇口を開かない
排水管が凍結したときは、無理に蛇口を開かないようにしてください。給水管から水が流れるからといって、排水管に到達するまで水を流してしまうと、流した分だけ排水管の凍結範囲を広げてしまう可能性があります。
また、水は個体になると体積が大きくなる特徴があるため、凍結範囲が拡大するにつれ、排水管が膨張していく点も要注意です。膨らみ過ぎた結果、破裂して高額な修理費用が必要になるケースもあります。
直接熱湯をかけない
排水管に直接お湯をかけると、急激な温度変化によって凍結部分が膨張し、破裂する恐れがあります。「熱湯をかけて一気に凍結を解消したい」と思う方もいるかもしれませんが、絶対にやめてください。
お湯をかけるときは、必ず50℃くらいのぬるま湯を使い、間接的に排水管を温めるように注意しましょう。また、万が一破裂してしまった場合には、できるだけ早く業者に修理を依頼するのがおすすめです。
素人が無理に触ると凍結の症状が悪化し、修理費用がさらに高額になってしまうケースもあります。
排水管の凍結防止グッズ
排水管凍結を未然に防止するうえで、ひと役買ってくれる代表的なグッズをご紹介します。
タオルやスポンジ
日頃より、自宅にあるタオルやスポンジを排水管に巻き付けておくことで、いざ外気が低下した日にも凍結を防げます。より大きな効果を得るためには、隙間を一切つくらないのがコツです。
排水管を覆うように巻き付けた後、上から水に強いビニールテープやラップ等でしっかり固定してください。屋外の排水管に施す際には、雨対策として上からビニール袋等をかぶせるといった工夫も必要です。
いずれも相当の数を要することになりますが、一つひとつの値段はそれほど高くありません。さまざまな凍結防止グッズの中でも家計への優しさが特徴です。
配管保温材
タオルやスポンジよりも保温性が高く、見栄えも良い配管保温剤は、見た目重視の方におすすめです。主な種類には、次のようなものが挙げられます。
- ロックウール
- ポリスチレンフォーム
- グラスウール
そしてこれらは、用途や予算別に使い分けられています。排水管の凍結防止に重宝されているのが、3つの中でも安価に購入できるグラスウール素材です。
最近では、ネットショッピングやホームセンターなどでも販売されており、早急に取り付けたい場合も簡単に入手できます。
タオルやスポンジ同様、雨対策は欠かせません。屋外の排水管に施す際には、ビニールテープやラップ等でしっかり防水対策をしましょう。
凍結防止ヒーター
配管保温材以上の保温性を求める場合は、凍結防止ヒーターの導入を検討してみてください。
凍結防止ヒーターとは、自動で外気を感知して保温機能を作動させる便利なグッズです。さらには、一定の気温に達すると、自動で通電を停止させる機能まで持ち併せています。初期投資が必要ではあるものの、一度購入すれば、約10年~20年に渡り活躍してくれるのがポイントです。
消費電力が15Wや12Wなどさまざまなタイプを展開しているので、購入時は選び間違いのないように注意しましょう。一般的に、消費電力が大きい方が優れた保温性能を発揮し、値段も高い傾向にあります。
寒冷地では12Wだと保温性能が足りず、凍結してしまう可能性があるので、注意してください。
排水管が凍結した際は業者に依頼
排水管の凍結は、自力で解消できる可能性もあります。いずれの方法でも問題解決まで至らなかった場合には、専門業者に依頼することをおすすめします。
専門業者がおすすめの理由
これまであらゆる水回りのトラブルを解決してきた業者は、プロの目線で最適な対処法を実践し、早期に排水管の凍結を解消してくれます。凍結部分に膨張や破裂が見られ、緊急を要する問題にも迅速に対応してくれて安心です。
料理や皿洗いなど、日常生活において水を使うシーンは非常に多く、なかなか解決できずにいると衛生環境の悪化に発展してしまう恐れもあります。自力の対応に限界を感じ次第、早期に業者への依頼を検討しましょう。
排水管の凍結修理の料金相場
排水管の凍結修理を業者に依頼する場合の料金相場は、20,000円~50,000円程度と幅広いです。
凍結の症状によって費用は前後しますが、作業しやすい場所で20,000円~30,000円程度、作業が困難な場所で30,000円~50,000円程度を見積もっておくと良いでしょう。
また、依頼時間が早朝や深夜だと、通常の料金に深夜料金が上乗せされる場合もあります。後に業者との間で齟齬が生じないよう、事前に見積もりを出してもらって納得したうえで、修理をお願いするように注意してください。
排水管の凍結に困ったら
排水管が凍結すると普段の生活にも支障をきたすため、早期解決を目指すのがベストです。トラブルの発生場所や症状の具合によって業者に依頼した方がいい場合もあるので、適宜判断してプロにお任せしましょう。
私たち『クリーンライフ』でも排水管凍結時のご相談を受け付けています。他の水道に関わるさまざまなトラブルにも対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
FAQ 排水管の凍結でよくある質問
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Q排水管を凍結させないための予防方法は?
水道管そのものの保温により、排水管凍結を予防できます。また、水抜きや蛇口から水を流しっぱなしにする方法も効果的です。蛇口の老朽化が気になっている頃であれば、寒冷地用蛇口への交換をおすすめします。
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Q排水管が凍結したときの対処法は?
手軽なドライヤーの温風を当てる方法のほか、より効果的なお湯で溶かす対処法もあります。お湯を使う場合は漏電を防ぐため、周囲に電気配線がないことを確認してください。
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Q排水管が凍結したときの注意点は?
無理に蛇口を開いたり、排水管に直接熱湯をかけたりすることは、絶対にやめましょう。凍結部分が膨張し、破裂してしまうと、修理に高額な費用がかかるケースが多いです。