この記事では、マンションの排水管の構造について徹底解説します。
マンションには複数の世帯が集まっているため、排水管の構造は複雑です。構造の理解は、メンテナンスや詰まり・水漏れの発生プロセスの理解につながるため、本記事を参考に把握しておきましょう。
記事後半では、マンションの排水管の寿命と工事方法についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
マンションの排水管の構造
マンションの排水管の構造は、以下5つの視点から見ていくと理解しやすくなります。
一つずつ見ていきましょう。
設置場所
マンションには複数の世帯が集まっており、排水管にも専有部分と共用部分があります。各部屋から専有部分の排水管が出ており、共用部分の排水管に集まって排水されます。
排水管自体はつながっていますが、場所によって専有部分と共用部分が分かれます。
基本的に、専有部分の排水管トラブルであれば自力で対処できますが、専有部分の排水管トラブルは大家・管理会社への相談が必要です。
排水の種類
マンションの排水には、以下3つの種類があり、それぞれに排水管が設置されています。
排水の種類 | 排水の詳細 | 排水管の名前 |
---|---|---|
雑排水 | キッチン・浴室・洗面台・洗濯機などの排水 | 雑排水管 |
汚水 | トイレの排水 | 汚水管 |
雨水 | 屋上やバルコニーから流れる雨水の排水 | 雨水管 |
雨水は降ってきた雨をそのまま排水するだけなので、余計な処理能力を使わないために、雑排水や汚水とは別で排水するのが一般的です。
雑排水と汚水を一緒に排水するか、分けて排水するかは、マンションごとに異なります。
排水方式
マンションの排水方式には、「合流式」と「分流式」があります。特徴は、以下のとおりです。
排水方式 | 特徴 |
---|---|
合流式 | 雑排水と汚水をまとめて排水する方式 築年数が古いマンションに多い |
分流式 | 雑排水と汚水を分けて排水する方式 築年数が浅いマンションに多い |
合流式は設置・維持コストが低いのがメリットですが、排水管トラブルが起きたときに被害が拡大する可能性があります。
一方、分流式は合流式より設置・維持コストがかかりますが、排水管トラブルが起きにくいのがメリットです。
近年はトラブル発生時のことを考慮し、分流式が主流になっています。
通気管の役割
排水管の上部には、排水をスムーズにする通気管があります。通気管があることで排水管内の空気圧が調整されるため、円滑に排水されるのです。
バルコニーに通気管が設置される例もありますが、臭いを完全に防止できないため、通気管の上部にあるのが一般的です。
一戸建てに比べて詰まりが発生しにくい
マンションは上階から下階に伸びる排水管が多いため、一戸建てに比べて詰まりが発生しにくい構造です。
とはいえ、複数の世帯が集まっているため、一戸建てよりトラブルは起きやすいとも考えられます。あくまで、構造的には一戸建てに比べて詰まりが発生しにくいと認識しておきましょう。
マンションの排水管の工事方法
マンションの排水管にはいくつか種類があり、それぞれに寿命があります。排水管の種類ごとの寿命は、以下のとおりです。
- 配管用炭素鋼鋼管(SGP):20~30年
- 銅管(CUP)・硬質塩化ビニル管(VP):20~40年
- 鋳鉄管(CIP):30~40年
排水管の寿命が来ると水漏れが発生する可能性があるため、工事が必要です。マンションの排水管の主な工事方法は、以下の2つです。
工事方法 | 概要 |
---|---|
更生(ライニング)工事 | 管内を洗浄してコーティングする |
更新(取替)工事 | 新しい排水管に取り替える |
それぞれにメリット・デメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。
更生(ライニング)工事
更生(ライニング)工事とは、管内を研磨洗浄した後、特殊な樹脂でコーティングする工事方法です。
更生(ライニング)工事のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
更新(取替)工事より短期間で安く工事できる 工事時の騒音が少ない |
排水管の老朽化が進んでいると工事できない |
更生(ライニング)工事は、排水管の内部が薄くなっていたり穴が開いていたりすると、研磨洗浄できないため、工事はできません。
そのため、排水管が古くなりすぎないうちに更生(ライニング)工事を実施し、寿命を伸ばす使い方がオススメです。
更新(取替)工事
更新(取替)工事とは、古い排水管を取り外し、新しい排水管を取り付ける工事方法です。
更新(取替)工事のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
排水管の寿命が大きく伸びる 排水管の老朽化が進んでいても工事できる |
費用が高く、工事期間が長くなる 工事による振動・騒音が発生する |
更新(取替)工事には費用や工事期間の問題がありますが、新品の排水管に交換できるのは大きなメリットといえます。
また、排水管の老朽化が進んで更生(ライニング)工事が実施できない場合は、更新(取替)工事の検討が必要です。
とはいえ、どちらの工事がいいかは建物や配管設備によって異なるため、プロの業者に相談するのが確実です。費用も安くありませんから、相談しながら適切に選択しましょう。
マンションの排水管の詰まりが発生する原因
マンションの排水管で詰まりが発生する原因は、主に以下の2つです。
排水管トラブルを避けるためにも、把握しておきましょう。
ゴミや汚れ
ゴミや汚れは、排水管を詰まらせる主な原因になります。例えば、食べかすや野菜の切れ端などです。
ゴミや汚れを流したからといってすぐに詰まるわけではありませんが、蓄積すると詰まりが発生します。
ゴミや汚れが原因で詰まった場合は、液体パイプクリーナーやラバーカップを使って解消しましょう。
水に溶けない異物
水に溶けない異物を排水管へ流すと、詰まりの原因になります。例えば、スマートフォンや歯ブラシなどです。
水に溶けない異物は溶かしたり押し流したりできないので、目に見えるところにある場合は取り除き、見えない場合は修理業者へ依頼しましょう。
マンションの排水管から漏水する原因
マンションの排水管から漏水する原因は、主に以下の3つです。
漏水にいち早く気づくため、一つずつ見ていきましょう。
排水管の詰まり
排水管が詰まると、水が流れなくなり、逆流して水漏れが発生する可能性があります。特に、キッチンやトイレはゴミや汚れが多いため、詰まりやすい場所です。
排水管が詰まって水漏れしたら、まずは応急処置して水漏れを止めましょう。
排水管つまりによる水漏れについては、以下の記事で詳しく解説しています。予防法も紹介しているので、ぜひご覧ください。
天井内設備の劣化・故障
マンションでは、天井内の給排水管や冷暖房設備の劣化・故障でも水漏れが発生するケースがあります。
この場合、自力での処置は不可能なので、漏水箇所を撮影して大家・管理会社に連絡しましょう。
上の階からの水漏れ
マンションには複数の世帯が集まっているため、上の階の水漏れが天井を伝って下の階まで到達する場合があります。
上の階の水漏れの場合は原因の特定が難しいため、漏水箇所を撮影後、大家・管理会社に連絡するのが確実です。
マンションの排水管の詰まりが起きたときの対処法
マンションの排水管の詰まりが起きた場合は、以下の方法で対処しましょう。
それぞれのやり方を詳しく見ていきます。
液体パイプクリーナーを流し込む
液体パイプクリーナーを使うと、汚れを溶かして落とせます。液体パイプクリーナーは、ドラッグストアで数百円ほどで購入可能です。
液体パイプクリーナーの使い方は、以下のとおりです。
- 規定量の液体パイプクリーナーを排水管へ流し込む
- 説明書きに記載の時間、放置する
- 水で洗い流す
使用量や放置時間を勝手に増やすと排水管を傷める可能性があるため、必ず説明書きに従いましょう。
液体パイプクリーナーでの洗浄方法は、以下の記事で詳しく解説しています。選び方のポイントもわかるので、ぜひご覧ください。
ラバーカップを使う
ラバーカップは、中を真空状態にして異物を引き上げるための道具です。
ラバーカップは100円均一ショップのほか、ドラッグストアやホームセンターで数百円程度あれば入手できます。
ラバーカップは、以下の手順で使いましょう。
- 周りを養生して止水栓を閉める
- 水が溜まっている部分に、ラバーカップをかぶせる
- ゆっくり押し込んでカップをへこませる
- 勢いをつけてすばやく引き戻す
詰まりのせいですでに水が溢れそうな場合は、バケツやコップで水を汲み出してからラバーカップを使いましょう。
トイレつまりをラバーカップで治す詳しい方法は、以下の記事を参考にしてください。
ワイヤーブラシを使う
ワイヤーブラシは細いワイヤーの先にブラシがついているため、排水管の奥まで届くのが特徴です。
ワイヤーブラシは100円均一ショップでも手に入りますし、ドラッグストアやホームセンターでも数百円あれば手に入ります。
ワイヤーブラシの使い方は、以下のとおりです。
- 排水管にワイヤーブラシの先端を入れる
- つまりの原因に引っかかったら前後させる
力任せに作業すると、異物を奥へ押し込んだり排水管を傷つけたりする可能性があります。無理だと判断したら作業を中断し、修理業者に依頼してください。
ワイヤーブラシの選び方や保管方法については、以下の記事をご覧ください。
マンションの排水管から漏水したときの対処法
マンションの排水管から漏水したときは、以下の方法で対処しましょう。
それぞれの詳しい方法を見ていきます。
応急処置をする
水漏れしたら、まず応急処置をしましょう。
なぜなら、マンションでの水漏れを放置すると、リフォームが必要になったり他の部屋へ水漏れ被害が拡大したりして、迷惑をかけてしまうからです。
応急処置は、以下の方法を試してみてください。
- 止水栓・元栓を閉める
- コンセントを抜く
- 水を拭き取る
水を拭き取っても溢れてくる場合は、バケツやタオルで受け止めましょう。
詳しい応急処置方法は以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
漏水箇所を撮影する
漏水箇所を撮影しておくと、水漏れの被害状況がわかります。また、原因や責任の所在の判断にも役立つため、撮影しておくのがオススメです。
より多くの情報を伝えるため、撮影の際は一カ所だけでなく、複数の角度から写真を撮りましょう。
大家・管理会社に連絡する
応急処置や撮影箇所の撮影が済んだら、大家・管理会社に連絡しましょう。
自分で修理を依頼したり近隣住民へ説明しようとしたりすると、トラブルになる可能性があります。
そのため、対応は大家・管理会社へ任せるのが無難です。深夜でも緊急連絡窓口が設置されているケースが多いので、事前に確認しておきましょう。
マンションの排水管清掃・交換を業者に頼む際の費用相場
マンションの排水管清掃の費用相場は、以下のとおりです。
作業内容 | 料金相場 |
---|---|
軽度の排水管つまり | 5,000円〜8,000円 |
中度の排水管つまり | 15,000円〜25,000円 |
高度の排水管つまり | 30,000円〜50,000円 |
薬剤による排水管洗浄 | 8,000円~15,000円 |
排水管の部品交換 | 5,000円〜 |
排水管の高圧洗浄 | 25,000円〜 |
排水管のトーラー洗浄 | 10,000円~35,000円 |
管内カメラ等による排水管の調査 | 20,000円〜 |
マンションの排水管交換の費用相場は、30万円~100万円/戸です。工事方法や排水管の位置などの条件によって金額は大きく変わるため、依頼前に見積もりをとってもらうのがいいでしょう。
また、出張費や休日の割増料金がプラスでかかる業者もいます。見積もり時や依頼時に必ず確認しておきましょう。
マンションの排水管清掃・交換を頼む業者の選び方
マンションの排水管清掃・交換を頼む業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。
- 水道局指定工事店である
- 料金体系が明確である
- 口コミ・評判が良い
水道局指定工事店は、各自治体の水道事業者から認可を受けている業者です。悪徳業者を避けるためにも、水道局指定工事店かどうかは確認しておきましょう。
また、料金体系が明確なことも大事なポイントです。工事費のほか、オプションでかかる費用もしっかり説明してくれる業者が安心です。
さらに、口コミ・評判を調べておくと、実際に利用した人の感想を確認できます。口コミ・評判がいい業者であれば、安心して利用できるでしょう。
マンションの排水管工事は『クリーンライフ』へお任せください
マンションの排水管は、一戸建てに比べて詰まりが発生しにくい構造です。しかし、汚れが蓄積したり異物を流したりすると詰まり、水漏れにつながるケースもあります。
原因に合わせて対処を試み、解決できないときはプロに依頼しましょう。
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