トイレの流れが悪い原因を症状別に解説し、対処法についても説明します。
自分で対処できるのか、業者に依頼した方が良いのか、迷っている方はぜひ参考にしてください。自分で対処する際のNG行動も解説しているので、安全に対処しましょう。
あわせて、トイレの流れが悪い状態にならないための予防法もお伝えするので、最後までお読みください。
【症状別】トイレの流れが悪い原因・見分け方
トイレの流れが悪い原因を症状別に見ていきましょう。
水が流れにくい・渦が弱い場合
水が流れにくい、または渦が弱い原因は、以下が考えられます。
- 排水管のつまりで水の流れを妨害している
- トイレタンク内で不具合が生じて、タンクの水量が不足している
- 水圧が低く、水量が不足している
水が渦を巻くことで、最小限の水で便器の汚れを取り去ります。しかし、水量が少なすぎると渦ができにくく、汚れが取れません。
水量不足でつまりがどんどん悪化して、流れが悪くなっていきます。
便器内に水が溜まり続ける場合
トイレの流れが悪く、レバーを操作して水を流したときに、便器内の水位が上がり続ける原因は、次のとおりです。
- 排水管が詰まっている
- タンク内のボールタップの故障で、流れる水量を調節できない
ボールタップは浮き玉につながって、給水を調整する部位です。ボールタップが壊れると水が少なくなる、もしくは大量に流れて止まらなくなり、流れが悪い状態が続きます。
集合住宅は他の部屋のつまりが原因のケースも
マンションやアパートといった集合住宅は、排水管が縦でつながっているため、他の部屋のつまりが影響するケースがあります。
また、高層階の部屋は水圧が低くなるため、水流が弱くつまりが生じやすい傾向です。節水型トイレを使っている部屋が多いと、さらにつまりが生じやすく、共用の排水管にも影響します。
築20年を超える古いマンションでは、共用の排水管に汚れが蓄積しており、各戸でトイレつまりが生じて流れが悪くなるケースもあります。
集合住宅のトイレで水の流れが悪いときは、管理者に相談しましょう。
異音がする場合
水の流れが悪く、トイレで聞き慣れない音がするのは、主に以下が原因です。
- 「ゴー」「ブーーン」という音はボールタップの不具合
- 「コポコポ」「ゴボゴボ」と聞こえたら、つまりの初期症状
- 「ゴンッ」「ガンッ」という壁を打つような音は、配管の水圧の変化
- ウォシュレットからの異音は、配管トラブル
配管トラブルやボールタップの不具合が原因で、つまりが生じる場合もあります。トイレ内の異音の多くは、トイレつまりの前兆です。悪化する前に、異音の原因を突き止めて対処しましょう。
異臭がする場合
トイレ内で臭いが気になる原因は、以下が考えられます。
- 便器内の水位が低い・水がなくなっている
- 排水管でつまりが生じている
- 換気扇の汚れなど、見えない箇所が汚れている
便器内からの臭いがあれば、つまりが生じてトイレの流れが悪くなっています。便器内の水位が低い原因も、つまりが生じてつまりの原因物質が水を引っ張っているケースも少なくありません。
異臭を放置すると、どんどんトイレの流れが悪くなります。
トイレの流れが悪いときのNG行動
トイレの流れが悪いときに自分で対処しようとして、知らないうちに悪化させたり、危険物質を発生させたりする恐れもあります。
ここでは、トイレの流れが悪いときにしてはいけないNG行動を2つ紹介します。
複数の洗剤を同時に使う
トイレの流れが悪いときに1つの洗剤を使ってみて効果がないと、別の洗剤を使ってみたくなります。しかし、複数の洗剤を同時に使ってはいけません。「まぜるな危険」と書かれている洗剤は、特に注意が必要です。
塩素系漂白剤と酸性洗剤を混ぜると、塩素ガスという有毒なガスが発生します。塩素ガスは、肺水腫や肺炎といった病気の原因です。
塩素ガスは刺激臭があるので、もし「発生したかも?」と思ったら、すぐに水を流して窓を開けましょう。また、動けるうちに空気の綺麗な場所に移動してください。少しでも気分が悪くなったら、軽症でも医師の診察を受けることをおすすめします。
器具で無理に修理しようとする
トイレの流れが悪い原因が固形物のときは、ラバーカップの使用はおすすめできません。オムツや生理用品のような、水を吸うと膨らむものも同様です。
ラバーカップを使うと、つまりの原因である固形物が排水管の奥に入り込んでしまいます。また、硬い固形物は、排水管や便器を傷つけてしまう可能性も。
また、ワイヤーブラシもトイレには使わない方が良いでしょう。ワイヤーブラシの先についているブラシの素材によっては、固すぎて陶器の便器を傷つけてしまいます。
ラバーカップやワイヤーブラシなどで、無理に修理しようとするのはやめましょう。便器や配管を傷つけたら、すぐに水道修理業者に相談してください。
トイレの流れが悪いときに自分で対処する方法
トイレの流れが悪い原因がトイレつまりである場合のみ、ご自分での対処が可能です。以下の方法を試してみてください。
- 水位を調整する
- お湯を流す
- ラバーカップ(すっぽん)を使う
- 真空式パイプクリーナーを使う
それぞれについて、説明します。
水位を調整する
トイレタンク内を確認して、水位が通常より低くなっていないか確認しましょう。
トイレタンクのオーバーフロー管に刻印されている「WL」が、標準の水位です。「WL」の表示がない場合は、オーバーフロー管の上部から2~3cm下が標準の水位です。
標準の水位より低いことがつまりの原因の場合があります。水位を調整して、水の流れを改善しましょう。
【標準水位に調整する方法:水位調節リングがある場合】
- トイレの止水栓を時計回りで閉める
- ボールタップの付け根にある水位調節リングを右方向に回す
- 止水栓を開く
【標準水位に調整する方法:水位調節リングがない場合】
- トイレの止水栓を時計回りで閉める
- ボールタップと浮き球を接続しているアーム(棒の部分)を上に曲げる
- 止水栓を開く
トイレタンク内の水位が標準になっていたら、終了です。つまりが解消できたか、様子を見てください。
お湯を流す
お湯の温度と水圧を利用して、つまり解消する方法です。便器の周辺が濡れる可能性があるので、新聞紙やビニールシート、タオル等を敷いて養生してください。
また、ウォシュレットが設置されている場合はコンセントを抜いて、濡れないようにしましょう。
【ぬるま湯でトイレつまりを直す方法】
- 便器内の水を汲み取り、水位を下げる
- 50℃〜60℃のお湯をバケツに半分程度用意する
- 腰くらいの位置からバケツのぬるま湯を勢いよく流す
沸騰したお湯に同量の水を混ぜると、だいたい50℃〜60℃のお湯になります。手を入れて一瞬我慢できる程度の熱さです。
つまりをもっと効率的に溶かしたいと、熱湯を使うのはNGです。熱湯を注ぐと、陶器製の便器にヒビが入ってしまう恐れがあります。
以下の記事で、さらに分かりやすくやり方や注意事項を解説しているので、参考にしてください。
ラバーカップを使う
ラバーカップは、ドン・キホーテやドラッグストア、カインズなどのホームセンター、通販サイトで500円〜2,000円程度で購入できます。
つまりの原因が水に溶けるものなら、ラバーカップを使用可能です。紙おむつやおもちゃなど、水に溶けないものがつまっている場合は使わないでください。
【ラバーカップのつまり解消方法】
- 止水栓を時計回りで閉める
- カップ部分が水に浸かる程度に水をバケツ等で足す
- カップを便器に押し付けて、密着させる
- カップをゆっくり押し込み、勢いよく引き戻す
- 3・4を数回繰り返す
- ゴボゴボと音がして、水が引いてきたら終了
レバーでいきなり水を流すと、つまりが解消していない場合に溢れる可能性があるので、バケツの使用がおすすめです。
以下の記事で、ラバーカップを使用する際の注意事項や、効率的な使い方をわかりやすく解説しています。
真空式パイプクリーナーを使う
真空式パイプクリーナーは、ラバーカップより吸引力のある強力なつまり解消用具です。コメリ、カインズといったホームセンターや大型雑貨店、通販サイトで1,800円〜で購入できます。
真空式パイプクリーナーはハンドルを上下して操作するため、ラバーカップより使いやすい点も魅力です。
【真空式パイプクリーナーのつまり解消方法】
- 真空式パイプクリーナーのハンドルが下がった状態で排水口に押し付ける
- カップ部分が水に浸かる程度に水位を調整する
- ハンドルをゆっくり押し込み、勢いよく引き上げる
- 3を数回繰り返す
- 排水管の奥で水が引いたような音がしたら終了
バケツで水を少しずつ流して、つまりを解消できたかどうか確認しましょう。
以下の記事で、真空式パイプクリーナーの選び方、使う際の注意点をわかりやすく説明しています。
トイレの流れが悪い構造的な理由
トイレは、そもそも流れが悪い状態になりやすい構造です。どのような構造になっているのかを知ると、トラブルの原因や対処法が理解しやすくなります。
トイレで水が流れる構造・仕組み
トイレの水が流れる仕組みは、以下のとおりです。
- レバーを操作する
- レバーに繋がった鎖がフロートバルブを持ち上げる
- フロートバルブの下の排水弁が開き、タンクの水が便器に流れる
- タンクの水位が下がる
- フロートバルブが排水弁をふさぐ
- 浮き玉の位置が下がる
- 浮き玉に繋がったボールタップの給水弁が開く
- 給水弁から水がタンクに入る
- タンク内の水位が上昇して、給水弁が閉じる
オーバーフロー管は、正常にタンク内部品が作動している場合は特に何もしません。ただし、部品に異常ができ、水位が上がりすぎるようになると調整のため作動します。
詰まりやすい場所と理由
以下が、トイレで特に詰まりやすい箇所です。
- 便器の水と排水管がつながる箇所
- 排水管の曲がった箇所
- 便器の底
便器内にたまっている水は「封水」と呼ばれます。封水は、下水の臭いや害虫が室内に入ってくるのを回避します。
便器の中には「せき」と呼ばれる空間があり、水がたまる構造です。せきがあるため、水の勢いがないとトイレットペーパーなどが流れません。
また、トイレの排水管が外の汚水枡まで延びていく過程で、曲がり角ができます。この曲がり角に、汚れが残ってつまりが生じやすくなります。
以下の記事で、トイレの構造についてわかりやすく説明しています。詰まりやすい原因や気をつけるべきことがわかるので、参考にしてください。
この状況は要注意!業者に依頼すべきトイレのサイン
以下の場合は、迷わずに業者への相談がおすすめです。
- 流したものが外から見えないとき
- 対処しても改善しないとき
- 過去にも同じ症状が繰り返されているとき
- 原因が思い当たらないとき
順に、解説していきます。
流したものが外から見えないとき
何が詰まっているのか、外からは確認できないケースです。排水管の奥深くでつまりが生じているので、ご自分での対応は難しいでしょう。
特に詰まったものが何かわからないときに、無理に取り出そうとすると、さらに奥に入り込んで悪化させてしまいます。業者に依頼して、専門用具で取り出してもらいましょう。
対処しても改善しないとき
さまざまな対処法を試してもまったく改善されないときは、排水管の奥深くや汚水枡などにつまりの原因があるのかもしれません。
また、つまりの原因が固形物なら、ラバーカップやお湯を使っても悪化させるだけです。
排水管の奥や汚水枡に原因がある場合や、固形物がつまりの原因で流れが悪いなら、自分での対応は難しいでしょう。
過去にも同じ症状が繰り返されているとき
ラバーカップ等で改善しても、何度も同じ症状が繰り返されている場合は、水道修理業者への相談がおすすめです。何らかの不具合が生じている可能性があります。
例えば、以下のような不具合です。
- 排水管が劣化している
- 汚水枡が劣化している
- 流す水量が少ない
- 排水管に尿石が蓄積している
以上の不具合のほか、トイレの利用方法に問題がある可能性もあります。
過去にもトイレの流れが悪い症状があり、また繰り返しているときは業者に相談して、適切に修理してもらいましょう。
原因が思い当たらないとき
トイレがつまってしまった原因がわからないときも、水道修理業者に相談しましょう。
いつも通りにトイレを使っていて、特に固形物などを流した覚えがなくても、うっかり何かを落として流してしまったのかもしれません。
お子さんのいる家庭は、特に注意が必要です。お子さんが流してしまった小さなおもちゃが原因の可能性もあります。
また、つまりの原因を流さなくても、排水管などの不具合が原因とも考えられます。水道修理業者なら、すぐに原因を突き止めて適切な処理をしてくれるでしょう。
トイレの流れが悪いときの修理費用の相場
トイレの流れが悪い原因の解消を、水道修理業者に依頼した際の作業料金の相場は以下のとおりです。
トイレのトラブル解消作業 | 修理費用の相場 |
---|---|
軽度のトイレつまり | 8,000円〜 |
中度のトイレつまり | 10,000円〜 |
重度のトイレつまり | 15,000円〜 |
ボールタップの交換 | 15,000円~25,000円 |
便器の着脱 | 8,000円〜20,000円 |
上記の作業料金とは別に、基本料金や深夜・休日の割増料金、出張費などが業者によって加算されます。
流れが悪いといっても、症状はさまざまです。水が少しは流れる軽度のトイレつまりなら、修理費用は安く済みます。便器内に水が溜まり続け、一向に水が引かない重度なトイレつまりは、数万円と高額です。
正式に依頼する前に、見積もりで合計金額を確認してください。見積書を作成し、きちんと説明してくれる信頼できる業者がおすすめです。
悪徳業者を見抜くチェックポイント
トイレつまりで修理業者に依頼する場合、悪徳業者を選ばないように注意が必要です。悪徳業者に依頼すると、高額請求や手抜き工事といったトラブルが生じます。
以下のような業者は、悪徳業者の可能性があるので、依頼しないでください。
- 飛び込みで訪問する
- 会社の所在地や代表者の名前がわからない
- 見積書を作成しない
- 不安を駆り立てて契約を促す
中には、脅迫めいた口調で契約を促す業者もいます。怖くても絶対に依頼しないでください。
水道局指定工事店に登録されているような、信頼できる業者に相談しましょう。
トイレの流れを悪くしないための予防策
トイレの流れが悪くならないための予防策をお伝えします。
- 定期的にトイレの掃除・点検をする
- トイレを詰まらせない習慣を身につける
- 長期間留守にするときも便器内の水を減らさない
以上を心がけていると、トイレの流れが悪い状態を防げます。
定期的にトイレの掃除・点検をする
定期的にトイレ掃除と点検をして、つまりを予防しましょう。定期的なトイレ掃除のメリットは、以下の通りです。
- 尿石や水垢が蓄積しない
- ちょっとした変化にすぐに気づいて対処できる
固形物が落ちたときは、すぐにゴム手袋をして取り出すことも忘れないでください。
トイレを詰まらせない習慣を身につける
以下のような習慣があると、トイレが詰まりやすくなります。
- トイレットペーパーを大量に使う
- 節約のために大便を小洗浄で流す
- 「水に流せる」という製品をよく流す
- 流れが多少悪くても対処しない
習慣を変えて、つまりが起きないようにしましょう。
- トイレットペーパーを大量に使うときは、途中で水を1回流す
- 大便のときは大洗浄で流す
- 「水に流せる」製品を流さない
- 流れが悪いと感じたら、すぐに対処する
以上のような習慣を身につけて、つまりが起きないようにしてください。
長期間留守にするときも便器内の水を減らさない
長期間留守にするときは、便器内の水が減らないように以下のように対処してください。
- 暑い時期:便器にラップを被せて蒸発を防止
- 寒い時期:便器に凍結防止剤を使用
便器内の水位が低くなった状態が続くと、流れが悪いといったさまざまな不具合の原因になります。
長期間留守にするために不安がある場合は、メンテナンスを専門家に依頼するのもおすすめです。
トイレの流れが悪いときは焦らず正しく対処
トイレの流れが悪い原因を症状別に解説しました。
紹介した対処法で解消しないときや、固形物を落としてしまったとき、すぐに修理したいときは水道修理業者への依頼がおすすめです。
症状が軽度なうちに修理を頼めば、費用は安く済みます。水の流れが悪いと感じたら、早めに相談しましょう。
業者選びに迷ったら、私たち『クリーンライフ』にご相談ください。電話・LINE・メールでのご相談を年中無休で24時間受け付けているので、どんなに軽いトイレつまりでも、すぐに駆けつけます。